緊急事態! 歯科診療室で こんなときどうする? DVDで学ぶ良い対応,悪い対応
ISBN 978-4-8160-1296-9
定価 8,856円(税656円)
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登録情報

【著者】矢島安朝/野口いづみ/中川洋一
【仕様】■DVD30分 ■A4判冊子40ページ


内容

「火災や地震の避難訓練は毎年行うのに、なぜ診療室の緊急事態訓練はおこなわれないのでしょうか」

歯科診療室で起こりうる8つの場面を想定し、それぞれの「良い対応」「悪い対応」についてDVDに動画を収録。冊子では、8つの場面(症例)の診断、基本の対処法や、疾患紹介などが掲載されています。
最初にDVDの「悪い対応」を歯科診療室スタッフ全員でご覧いただき、どう対応すべきかを話し合うところから、緊急事態への訓練が始まります。緊急事態に患者を守るための必携のDVD。

序文

―「地蔵より高いところに逃げよ」 常に話題に,常に意識することが重要 ―
 4 年前の東日本大震災のとき,未曾有の被害を被った宮城県東松島市の宮戸島においては,古くからの言い伝えによって住人が独自に避難した結果,人口約1,000 人の島で,死亡あるいは行方不明になったのは7 人にとどまり,奇跡的とニュースになりました.宮戸島にはこんな言い伝えが残っています.「両岸から来た津波がここで合わさって多くの人が死んだ.これより高いところに逃げよ」.かつて津波が到達した地点には地蔵3 体と石碑が立っていました.地震発生時,津波が来ると聞いた途端に,大人も子どもも目印となっていた地蔵よりも高いところを目指して一目散に駆け出しました.言い伝えを先祖代々語り継ぎ,さらに常に津波を意識し,話題にし続けたことが多くの住民の命を救ったわけです.
 地震,火災などの災害時避難訓練は,この言い伝えと同じように緊急事態を常に意識するために,毎年,学校や職場で行われているのでありましょう.しかし,私たちの診療室の中で,患者の心臓が止まったり,意識がなくなってしまう緊急事態が発生したとしたら,私たちは宮戸島の住人たちと同じように冷静な対応ができるのでしょうか.あるいは,私たちは,チェアの上で起こりうる緊急事態を診療室で常に意識し常に話題にしているでしょうか.どちらも全くできてはいないのが現実ではないのでしょうか.
 災害時避難訓練は行うのに,診療室での緊急事態訓練を行わないのはおかしな話です.歯科医師だけが緊急事態の十分な知識をもっているだけでは決して患者は救えません.心停止の場面で第一に行うことは,周りの人に呼びかけて人を集めるところから始まることからも,一人では駄目なことが十分に理解できるはずです.緊急事態とは,診療室のスタッフ全員の全力の協力によって乗り越えることができるものなのです.そのためには,緊急事態発生時の歯科医師の動き,スタッフの行動を何度もシミュレーションし,本番では体が自然に動いてしまうくらいにしておかなければ,「宮戸島の住人」にはなれないのです.
 そこでこの緊急事態対応DVD の作製を考えました.これをスタッフ全員で歯科診療室における緊急事態訓練に使用していただきたいと思います.この動画には,診療室で起こりうる8 つの場面を想定し,対応として「悪い例」と「良い例」を役者に演じてもらっています.本書を用いた緊急事態訓練は以下のように実行していただきたいと思います.
※動画を見る前に本書の文章を読むことはお勧めできません.ご自分の実力,診療室の対応能力を見
極めることが,緊急事態訓練の最初の目的です.
動画は項目ごと以下のように進みますので,複数の動画を通して見てしまうことは避けてください.一つずつ進行です.
診療室スタッフ全員で動画の「悪い例」を見てください.
診断名はすでにわかっているので,「悪い例」の動画は何が良くないのかを話し合ってください.自分たちであればどのように対応すべきかも相談してください.ここでの意見の集約が,現状の診療室の実力であるということになります.院長が司会者役となり,ご自分の意見も交え,少し誘導してあげることも必要でしょう.
診療室のスタッフ全員で動画の「良い例」を見てください.
 悪い例を見て話し合ったことの妥当性を検討してください.自分たちの考えた対応はどこが正しく,どこが間違っているのかを明確にしてあげることが重要です.各診療室の設備,備品,薬剤の有無なども考慮に入れ,その診療室独自の対応を話し合うことも必要です.
本書の対応文章を読んでください.
 なぜ,そのような症状が出るのか.なぜ,そのような対応が必要なのか.先生はこのように動き,スタッフはこのように動くということを確認してください.動き,対応の理由(エビデンス)を理解していなければ,対処法はすぐに忘れてしまいます.
本書と動画と話し合った結果を総合して,各診療室での独自の対応を決定し,「基本の対処法」のような図にしてみましょう.誰が何をするのかを明確にしてもよいでしょう.
実際の緊急事態訓練を行います.
 患者役を決め,動画のように演じてもらいます.歯科医師,スタッフの対応,言動,動きをチェックする人間も必要でしょう.訓練です.恥ずかしがらないで真剣に行いましょう.

 以上を一項目ずつ進めて,本書と動画を参考に,自分の診療室での緊急事態訓練を行ってください.繰り返し訓練を行うことが重要です.忘れたころに再度シミュレーションを行うことも必要です.
 救急医療では,初期対応がその患者の生命予後を決定すると言われています.診療室のスタッフ全員が,自分たちの大切な患者を守り通すという意識の下,本書とDVD を用いて,歯科診療室の緊急事態訓練が各所で繰り返されることを期待しています.明日,自分の診療室で発生してしまうかもしれない緊急事態に,「宮戸島の住人」のような冷静で適確な対応ができるように.

2015 年9 月吉日
東京歯科大学水道橋病院 病院長
東京歯科大学口腔インプラント学講座 教授
矢島安朝


目次

症例 1脳貧血様発作
症例 2過換気症候群
症例 3異物誤嚥
症例 4血圧上昇〈高血圧性脳症〉
症例 5胸痛発作
症例 6糖尿病〈低血糖ショック〉
症例 7不整脈〈心肺停止〉
症例 8神経麻痺
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